冬の夕暮れ、街外れの古い集合住宅で突然火災が発生した。原因は一室の電気ストーブの転倒による事故だった。住人たちは煙に包まれながらも必死に避難したが、小学生の少女・美咲だけが隣室に取り残された愛犬を迎えに戻ってしまう。炎は瞬く間に廊下を塞ぎ、誰も救助に向かえない状況の中、近所に住む青年・悠人が自らの危険を顧みず建物に飛び込んでいく。幼い頃、同じように火事で家族を失った過去を持つ悠人にとって、美咲の叫びは他人事ではなかったのだ。 濃い煙の中で美咲と愛犬を見つけた悠人は、少女に古びたマフラーを巻いて抱きかかえると、出口を探しながら崩れかけた廊下を駆け抜けた。やがて彼らは無事救出されるが、悠人は重い火傷を負い、入院生活を送ることになる。美咲は毎日のように見舞いに訪れ、「大人になったらあなたみたいに誰かを助けられる人になる」と約束する。 火事は多くのものを奪ったが、人と人を繋ぐ強さと優しさを残した――それは炎では焼き尽くせない、大切な希望の物語である。
2023年6月4日日曜日
【速報】大崎事件再審請求 高裁支部も棄却 裁判のやり直し認めず
6/5(月) 11:02配信
KKB鹿児島放送
(写真:KKB)
鹿児島県大崎町で1979年、男性(当時42)の遺体が見つかった「大崎事件」を巡り、殺人などの罪で服役した原口アヤ子さん(95)の4度目の再審請求について、福岡高裁宮崎支部は5日、一審・鹿児島地裁決定を維持し、原口さん側の即時抗告を棄却しました。原口さんの裁判のやり直しは認められませんでした。
大崎事件は1979年、男性が自転車ごと深さ約1メートルの溝に転落し、3日後に牛小屋のたい肥の中から遺体で見つかって発覚しました。鹿児島県警は義理の姉の原口さんと、原口さんの当時の夫ら親族3人を殺人や死体遺棄容疑で逮捕しました。
原口さんは捜査段階から一貫して無罪を主張。しかし、鹿児島地裁は1980年、親族3人の自白などを踏まえて、原口さんに懲役10年の判決を言い渡し、81年に確定しました。
確定判決では、近所の住民2人が、酒に酔って溝に落ち、路上に倒れていた男性を軽トラックで連れ帰った後、泥酔している様子を見て日頃の恨みを募らせた原口さんや、親族が共謀して、男性の首を絞めて殺害したなどと認定しました。
原口さんは出所後の1995年に1回目の再審を請求。過去3回までの再審請求では、地裁が2回、高裁が1回、再審開始を認める決定を出していましたが、いずれも上級審で退けられていました。
再審を求めることができるのは、「無罪を言い渡すべき明らかな証拠を新たに発見したとき」と規定されています。弁護団は今回4回目の再審請求で、二つの「新たな証拠」を柱に裁判のやり直しを求めました。
一つ目は、救命救急医の澤野誠医師の鑑定書を踏まえ、「男性は殺害されたのではなく、自転車の事故に起因する」との主張です。男性の死因は自転車ごと溝に落ちて首を痛め、住民から救助される際にダメージが加わったことなどによる事故死としていて、弁護団は「原口さんが男性を見た時には既に亡くなっていた」と指摘。原口さんらが男性を「殺害した」という確定判決の認定が成立しないと主張していました。
二つ目は、男性を救助した住民の証言です。「生きている男性を土間に置いた」という証言について、弁護団は専門家の解析を踏まえて、「信用性に疑問がある」と主張していました。
去年6月の鹿児島地裁決定では、「男性は事故死」とする鑑定結果について、「高い蓋然性を持って推論できず、あくまで可能性が完全には否定されないという点にとどまる」と指摘。二つ目の住民の証言についても「住民の供述も十分信用できる」と判断した上で、弁護団が主張する二つの証拠は「無罪を言い渡すべき、新証拠には当たらない」と結論付け、再審請求を退けていました。
弁護団はこの地裁決定を不服として、福岡高裁宮崎支部に即時抗告していました。きょう福岡高裁宮崎支部の矢数昌雄裁判長は「地裁決定は、論理則、経験則などに照らしておおむね不合理なところはない」と判断し、鹿児島地裁の決定を維持して即時抗告を棄却。原口さんの裁判のやり直しを認めませんでした。
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